てんりせいかつ

てんりせいかつ Vol/12
お客さんと話すのが楽しい。
でも対話は苦手ですよ(笑)。—後編—

くらし
2019.01.30

第12回

中井農園
中井靖氏

「てんりせいかつ」では、天理で自分らしく暮らし、活躍されている魅力的な方々を訪ね巡りご紹介していきます。今回は、県や国の品評会において毎年のように入賞(平成28年は農林大臣賞、平成29年は奈良県知事賞)されているいちご農園の中井さんです。中井さんのいちごの評価は高く、東京のレストランからも指名買いされるほか、天理市のふるさと納税の返礼品にセレクトされるほど。親子2代で畑を守り、いちごをつくり続ける中井さんに、普段大切にされていること、今後の展望をお聞きしました。

ご縁を大事に守りながら、
心配りを傍らに。

中井さんのいちごは料理人からの信頼も厚い。人気で予約が取れないレストランとして有名な東京・神保町にあるお店もそのひとつ。「そのお店ではシェフがご自身の目で見て食材を厳選する旅をされていて、夏に天理市にいらしたんです。8月はいちごの季節ではないので、収穫したら送りますねと約束をして、その後、収穫したものをお送りしたところからご縁が続いています」。他にも名店と言われるレストランにいちごを卸している中井さんだが、そのことを宣伝に使ったりはしたくないと言う。「いちごは繊細ですので、時期が少しずれれば味が微妙に変化します。直売場にいらっしゃるお客さんはそのタイミングの味ですべてを判断されるかたもおられる。そうすると、もしちょっとでもイメージした味と違った場合『なんだ、あの有名レストランもこの程度のものか』と思われかねない。ご迷惑になってしまうのは嫌ですから」。中井さんの人柄を感じさせるそんな一面もまた、シェフを惹きつける魅力になっているのかもしれない。

どんどん外に出て行く。
だから新しいアイデアが生まれる。

全国の若手農業者で構成する農業青年クラブ(4Hクラブ)。中井さんはその地域組織である天理市4Hクラブの一員としても活動をしている。「私がいちご、あとはバラ、ヤマトイモ、ほうれん草、トマト、多肉植物といろんな専門をもった人が集まっているので面白いですよ。特にバラは、最先端な事例が多くて、いちごもバラ科の植物ですので色々と参考にさせてもらってますね。農業は孤立しがちなので自分から外に出ていかないと情報は入って来ないと思うんです。だから私は4Hクラブに入っていてよかったと思ってますね」。中井さんはとことん人とのつながりを大切にし、コミュニケーションの中から生まれる新たな発見を明日に活かしている。

対話を大切に
自分のお客さんをつくっていきたい。

「今はやっていないんですが、いちご狩りは今後やっていきたいなと思っています。特に一番おいしい時期に『プレミアムいちご狩り』を提供できたらと考えています。ただいちごを摘んで食べるだけの場ではなく、いちごづくりの過程や大変な面もお伝えして、こんな人がつくっているんだというところも含めて楽しんでもらえたらいいなと思いますね」。工業製品でない農作物には、当然味にも波がある。その波さえも楽しんでもらうためには生産者の顔が見えていることが大切だと中井さんは語る。「対話は得意じゃないんですよ(笑)。でもお話をしないと、中井農園のこだわりやカラーが出せませんからね。直販をしてお客さんと話すようになったことで、自分自身のやりがいにもなっていますので、これからはもっと“中井農園のいちごだから”と求めてくださる『自分のお客さん』をつくっていきたいと思います」。今年もいちごの季節がやってくる。中井さんが1年間愛情を注ぎ込んで育てたいちごが、いよいよ食べられる。

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