てんりせいかつ

てんりせいかつ Vol/22
流れを見て、動きを読む。
大人も子どもも一緒。
―後編―

くらし
2019.10.18

第22回

保育士・ラグビー審判員
立川誠道 氏

「てんりせいかつ」では、天理で自分らしく暮らし、活躍されている方々を訪ね巡りご紹介していきます。今回は、前回にひきつづき平日は保育士、休日はラグビーの審判(レフェリー)を務める立川さんです。ラグビーの審判と保育園の先生の意外な共通点をはじめ、天理のまちの様子などについてお勤め先の保育園で伺いました。 

審判の経験が
保育の現場でも活きてくる。

ラグビーの試合は15人対15人。同時に見る人の数としては非常に多い。一方保育園も縦横無尽に走り回る子どもたち全員の動きを常に把握することは容易ではない。「審判と保育士はすごく似てますね。大切なのは死角をつくらないこと。全体が見える位置に体を向け、他の保育士と連携しながらポジションをとるんです。それはまるで主審と副審の動きのようです(笑)」。

さらに、選手や子どもたちとの接し方の面でも共通点があると立川さん。「トップ選手でも審判が見てない隙に子どもみたいなズルをすることもあるんですよ(笑)。だから自分のスタンスを最初に明確にすることはとても重要だと思います。最初に甘くしてしまうと、その後示しがつかなくなりますからね。人を傷つける行動、言葉はどんな年齢でもダメ。人に対する姿勢は大人も子どもも一緒ですね」。

同じ試合は二度とない。
同じ教室も二度とない。

「試合って同じチーム同士の対戦でも内容が同じということは絶対にないんです。保育も、目の前にいる子どもは昨日と一緒でも、毎日状況が全然違います。だから事前の準備が大事になるんです」。どんなことが起こるかを予測してそれに備える。少しでも怠ればいい試合にならないし、いい保育もできないと立川さんは自らの哲学を語る。「いい試合は選手と審判が一緒につくるもの。いい保育も先生と子どもが一緒につくるものだと思います」。その根底にはいつも、たえず状況を把握し、人を見る立川さんの深い洞察があるのだ。

天理に帰ってくると
心が落ち着きホッとする。

遠征で各地を飛び回る立川さんだからこそ見える、天理のまちの魅力とは?そのあたりをお聞きしてみた。「ホッとしますよね。静かで。夕方の西の空の綺麗さはどの街にも負けないですね。心洗われるとはこのことです」。とはいえ一番落ち着くのは、家族と過ごすご自宅とのこと。そして職場の保育園も落ち着く場所なのだという。「自分の子どもに限らず、子どもといると嫌なこと全部忘れられるんですよね。子どもに救われているんだと思います」。

保育士としてのレベルも
審判としてもレベルも上げていきたい。

レフェリーのトップには「A級」というクラスがあり、それに次ぐA1、A2までが日本ラグビー協会公認として桜のマークをつけてピッチに立つことを許される。立川さんも2017年まで4年間そのA1級・A2級でレフェリーを務めてきた。2018年のシーズンではB級に降格。今もトップレフェリーへの返り咲きを目指しているが、さらに難しい目標を掲げているという。「保育士としての任される仕事の責任も大きくなってきましたし、家庭もおろそかにしたくない。ラグビーだけに全部を捧げるという選択肢は私にはないんです。だから、仕事も、家庭も、ラグビーもすべてのグレードを上げて行くことが今の目標ですね。何も諦めずに桜に戻る。それは相当難しい挑戦になると思います」。

そして一番近くで応援してくれている奥様には感謝をしてもし尽くせないのだそう。「子育てが一番しんどい時期に私も頑張れた。次はあなたの番、ここからやろ?と妻はいつもハッパをかけてくれるんです(笑)。ほんとありがたいです」。

保育士14年目。まだまだここから「子どもを見る目」を高めていきたいと立川さんは意気込む。「泣いてる子どもに、どうしたの?と聞いているようじゃダメなんです。その瞬間を見てなかったということですから。子どもを見る目がすべての原点です」。審判と保育士。2足のわらじを履いた立川さんのこれからの活躍が楽しみである。

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