てんりせいかつ

てんりせいかつ Vol/36
みんなの笑顔で、明るい町づくり
―後編―

くらし
2022.04.01

第36

Gymnastique活利 運営者
西田 智恵子 氏

「てんりせいかつ」では、天理で自分らしく暮らし、活躍されている方々を訪ね巡りご紹介しています。前編「真美体操で『踊って楽しい、見て楽しい、そしてみんな元気になる!』」に引き続き、後編「みんなの笑顔で、明るい町づくり」も西田智恵子さんを紹介します。真美(しんび)体操の教室を続けながら、世界体操祭に参加したり、天理パフォーマンスフェスティバルやいちょう体操の普及活動をしている西田さんが、どんな想いをもって、天理市を盛り上げているかをぜひご覧ください。

誰が出演してもいい、
喜んでもらう演技

「踊って楽しい、見て楽しい、そしてみんな元気になる!」の心で真美(しんび)体操を教えて、35年目の西田智恵子さん。公民館から始まった活動を広げて、市内施設の慰問やお祭りの出演をしながら、天理市で仲間をたくさん増やしました。チームHappiness真美でずっと出演していた「天理な祭り」が、2014年の市制60年に「天理パフォーマンスフェスティバル」と「ワールドフェスティバル天理」に特化した祭りに変わりました。西田さんは天理パフォーマンスフェスティバルの実行委員として、最初から深く関わっています。「市内の子どもから高齢者まで、『誰でも出演できるのよ!』と言って、そうしたイベントでいろんなパフォーマンスをやってもらおう、やろうと言いました」。年齢を問わず、みなさんを歓迎する祭りです。スキルより、スマイルの方が大事だと西田さんは語りました。「もちろん上手になってほしいけど、やっぱり人に見てもらって、喜んでもらう演技をしてほしいな。ちょっと上手に踊れないかなという子でも、すごくいい笑顔で一生懸命やっている姿を見たら、拍手を送りたくなりますね」と。さらに、このイベントではスペシャルゲストを招待して一流の演技を見るショータイムがあります。「子どもたちに夢の第一歩を提供することもこのイベントの大切な役目なんです。」と。

メダルより、お互いを讃え合う大会

西田さんの活動は天理市や日本に限られていません。2011年から、日本体操協会の一員として所属している真美健康体操協会チームより、彼女は「World Gymnaestrada(世界体操祭)ローザンヌ、ヘルシンキ、ドーンビルンの3大会」に参加しています。オリンピックと同じように4年ごとに世界の国々から人が集まりますが、競争ではありません。「みなさんはメダルが欲しくて来ているわけじゃなくて、お互いの国の演技を見て、讃え合い、エールを送り合うのよね」と西田さんは説明してくれました。開会式から閉会式までの一週間、国立競技場のような大きなメイン会場や、市内に設けられた特設ステージで、各国のチームが何度も演技し、お互いを見て楽しむのです。町はオリンピック同様の賑やかな一週間になります。最後の閉会式ではお互いのユニフォームを交換し合い、世界中の仲間と触れ合える贅沢な瞬間です。

ヨーロッパの現場で西田さんは他の国の子どもをたくさん見かけました。お互いを応援する現場の価値観を日本の子どもたちにも伝えたいと西田さんは思いました。「別に一等賞じゃなくても、メダルを取らなくても、皆が頑張ってきた成果を披露して、笑顔になれる大会。子どもたちにそういう世界を肌で感じてもらいたくて、それが私の役目だと思います」。

たった3分で元気になれる体操

天理市スポーツ推進委員会のメンバーであった西田さんは、2007年に「天理市を元気で活力ある明るい町にしていくこと」を目的にして、天理市歌をメロディーに天理市の銀杏の木をイメージした「いちょう体操」の振り付けに関わりました。「天理市の体操として、市民がいつでも、だれでもどこでもできる体操でね。健康づくりだけではなく、この体操が町の一つの共通文化になることが大事だった」と説明してくれました。

3月下旬の朝、子どもから年配の方々を含めた15人が天理駅前広場コフフンのステージに集まりました。大きなスピーカーから天理市歌が流れ、黒色や黄色のジャージーを着た指導員と他のメンバーは腕と脚を伸ばし、首や肩や手首をゆっくり回し、最後に、いちょうの葉っぱを真似て、両手を上に大きく広げてポーズ。「たった3分だけで、みんなすっきりして、『楽しかったね!』とみんな笑顔になって帰れるのよね」と指導員である西田さんは説明しました。一回だけやってみると意外に元気になり、親しみがわく体操です。それが今まで長く続いた秘訣ではないでしょうか。

いつもの継続が、町の力になる

いちょう体操を作ってから、西田さんたちは毎月第1と第3の土曜日に「わくわくいちょう体操」と称して、天理駅前や天理本通り商店街に集まり、町のみなさんと一緒にいちょう体操をしています。天理駅前広場コフフンができてから、コフフンのステージを使うようになりました。

2019年のある日に、市から電話があり、地方創生大臣が石上神宮に来る時に「コフフンでいちょう体操をしてくれませんか」とのリクエストでした。西田さんはいつものメンバーにぱっと連絡をしました。すると集まること50名以上、「継続していたから、一声でこうやって集まるんやな。『大臣が来るから、ここでやっている!』のサクラではなく、いつもやっているいちょう体操を『この日のこの時間にやろう!』と言ったらすぐに集まれる。続けていったことで、そういう仲間が増えて町の力にもなっている」。

いちょう体操をこれからも長く続けられるように、より多くの人に伝えられるように、2020年8月、西田さんたちは6人で「いちょう体操天理愛好会」を結成しました。新型コロナウイルスの影響でなかなか集まれなくても、いちょう体操天理愛好会は、「行ってみた! やってみた! いちょう体操」と題して、普段と違う石上神宮や大和神社のような場所でいちょう体操をし、その映像を配信することによって、天理市の魅力をより多くの人に伝えています。次は丹波市町の市座神社です。「天理市の一人でも多くの人に体操を味わってもらいたい!」と西田さんは言いました。

明るいまちづくりを「まだING…」

15年目を迎えたいちょう体操。自分の大切な町のためだと西田さんは意気込みます。「明るい町づくりのためです。自分の生まれ育った町だから、『やっぱり天理はいいよ!元気になれるよ!』のような場所になれれば、と思います」。

公民館活動から始めた西田さんは、世界体操祭や天理パフォーマンスフェスティバルの舞台、コフフンのステージ、その先へも仲間と一緒に踊り続けるでしょう。夢の続きは?と訊いてみたら、「私はまだING…です、いろんなことをしたいです!」と西田さんは明るい笑顔を見せてくれました。

みなさんもいかがでしょうか。わくわくいちょう体操にも、天理パフォーマンスフェスティバルにも、みなさんの笑顔、大歓迎です。

 

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