てんりせいかつ

てんりせいかつ Vol/05
世界中から人が集い、交流する。
天理は昔からそういう場所です。—前編—

芸術文化
2018.09.03

第5回

ワールドフェスティバル天理実行委員長

井上久光氏

「てんりせいかつ」では、天理で自分らしく暮らし、活動されている魅力的な方々を訪ね巡りご紹介していきます。今回は、毎年天理駅前広場で開催されているワールドフェスティバル天理の実行委員長である井上久光さんを訪ねました。大学進学をきっかけに天理に住み始めた井上さんは、天理大学の職員として働きながら、学外でも様々な活動で人の交流を生み出す仕掛け人。井上さんが見る天理の魅力とは?

奄美大島から天理へ。
街全体が活気づいていた。

JR天理駅の前に広がるコフフン。国際交流を楽しめるイベント「ワールドフェスティバル天理」は毎年この駅前広場を舞台に開催されている。今回はその広場の目と鼻の先にあるJR高架下の南団体待合所でワールドフェスティバル天理の実行委員長である井上さんと合流。まずは天理との馴れ初め、そして当時の様子から話は始まった。「大学進学をきっかけに奄美大島から天理市に来たんです。これから整備されていく街という印象はありましたが、天理教の人たちを中心にとにかく本当に活気にあふれていましたね」と当時を振り返る。大学卒業後は教会本部で5年間働いた後に人材育成と町おこしにも力を注ぎたいと天理大学の職員になった。活気に溢れる天理ではあったが、どこか物足りなさも感じていたという。「やはり集まっているのは天理教の人が大多数でしたし、もっと信者さんじゃない人にも来てもらえるような街にできたらいいなと漠然と思ったんです」。

まちおこしの原点は
両親の背中と学生時代の経験。

町おこしに興味をもったのは学生時代の体験が大きいという。「高校、大学と学生会の活動をしていたんです。そこでは広報関係の仕事や全国から来てくれる人に喜んでもらうための企画を日々考えていました。そんな活動の中で、来てくれた人に喜んでもらうことの嬉しさと、その人たちが交流して新しいつながりが生まれる場をつくることの楽しさに目覚めました」。さらに、ご両親の「世のため、人のため」という背中を見て育ったことも、活動の原動力になっているのだと語ってくれた。「国際交流のワールドフェスティバルも大きなところでは『世のため、人のため』というのがベースにあるのかなと思いますね」。

イベントのつくり方を
実践から学んだ8カ月。

井上さんが町おこしに本腰を入れようとしていたちょうどその頃、奈良県では平城遷都1300年を前に、“奈良2010年塾”がはじまった。塾頭は映画監督の河瀬直美さん。自らの手でまちおこしをしていきたいと考えていた井上さんも迷わずその塾に参加した。「自分でイベントをつくり上げて、立ち上げていけるというような力を身につけるための塾で、私は4期生として入って林信夫氏(21世紀ディレクターズユニオン代表、編集者・イベントプロデューサー)らから学ばせてもらいました。実際にイベントの手伝いをしながら8カ月ぐらいちょっと勉強させてもらったことが、その後のワールドフェスティバルの立ち上げに大いに役立ちましたね」。

天理市は歴史ある国際都市。
それを核にするイベントをつくる。

「天理市では光の祭典という綺麗なイベントをやっていたんですが、訪れたお客さんたちはそれを見るだけで帰ってしまうんですよね。もったいない!と思ってしまったんです。屋台の1つでも出せば、来場者が飲食も楽しんでお金も落ちますよね。街の活性化は経済の活性化とセットですから何とかそんな仕組みを構築したいと動き出しました」。そんな話を留学生と話していたのが2013年。その時はまだワールドフェスティバルという構想はできていなかった。天理市らしいコンセプトで地域を活性化できないか。そう考えているうちに、ついに井上さんは天理が持つ“国際性”にたどり着いたのだ。

「奈良・天理は古くから国際交流の歴史を持っています。七支刀であったり、 三角縁神獣鏡だったり、2世紀、3世紀ぐらいから国際交流してきているというのが天理の根底に流れている強みとしてあると思ったんです。他の地域でもワールドフェスティバルはあると思いますが、天理はそこで堂々と戦えると考えました」。そのコンセプトをもとに、光の祭典のイルミネーションのかたわらで小さくその歩みをスタートしたものが今日のワールドフェスティバルなのだ。

いよいよイベント立ち上げ。
出演者のギャラはなんと…!  

とはいえ贅沢な予算のあるイベントではなく、スタート当時の涙ぐましいエピソードも教えてくれた。「12月の寒い時期です。一緒にやりたいという留学生におにぎりを握ってもらって、ゲストで来てくれたプロの太鼓奏者神奈川馬匠氏へのギャラがおにぎりとカップラーメンだけで(笑)。そんなこともありましたね」。

後編につづく===

 

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